第75回 日本生化学会大会

#レポート2002.11.05

会場:国立京都国際会館, 京都宝ヶ池プリンスホテル (京都市左京区宝ヶ池)
月日:2002年10月14日(祝)-17日(木)

10月17日(木)に参加してきました。
ノーベル化学賞を受賞された島津製作所の田中耕一先生による講演は、VTR放映という形で、講演を聴くことができました。1983年当時は、マトリックスにUltra Fine Metal Powder(金属超微粒子)というレーザー光を吸収しやすい物質を使用していたそうですが、ある日グリセリンを間違えてマトリックスとして使ってしまい、もったいないという理由から測定してみたところ、非常によいデータが出たそうです。発明というのは、机上に空論ありきで始まるものと思っていましたが、なんとも田中先生らしい発明経緯に会場からも笑いの声が漏れていました。

弊社で製品を扱っているエーエムアール社は、グラクソスミスクライン社の西村先生(九州大学教授兼任)と共に多次元LCプロテオミクスに関しての講演をされました。二次元ゲル電気泳動の約二倍のペプチドをMSに導入できる状態まで分画でき、二次元ゲル電気泳動の二倍以上のスループットを持っています。また、このハイスループットに耐えるためイオントラップ型MSを使用し網羅的に解析をするというものでした。今日のプロテオーム研究にとって、このハイスループット化は非常に有用なことだと思います。次元をさらに増やし、さらにハイスループット化したシステムを作りあげるという今後のビジョンがあり、実現すればプロテオーム研究が加速されることは間違いないと思います。

横浜市立大学の平野先生は、翻訳後修飾後のタンパク機能をデータベース化するという壮大なビジョンをお持ちで、今回はある特定タンパクの翻訳後修飾後の機能について発表されました。膨大な検体数を処理するこのような場合は、単一成分の解析しかできないMALDI-TOFよりも、網羅的な解析が可能な前出の多次元LC/MSが最適だと思いました。

今回、学会というものに初めて参加しました。私たちの生活を便利にしてきた過去の数々の研究、調査、論文等は、このような場で世に発表されてきたという現実を目の当たりにし、普段仕事でお世話になっている先生方や研究者の方々を改めて尊敬しなければならないと思いました。中には、少ない予算の中でやりくりするため、一代理店の営業である私に価格相談を持ちかけて下さる方もいらっしゃいます。そんな方々の苦労をも垣間見た一日でした。

担当 東京営業所 S.A

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