2004 ASMS(American society for mass spectrometry) Report

#レポート2004.06.14

会場:アメリカ テネシー州 ナッシュビル
月日:2004年5月23日~5月27日

 世界最大の質量分析学会ASMSが5/23(日)から27日(木)までの5日間の日程で、アメリカ テネシー州 ナッシュビルGaylord Opryland Hotelにて、開催されました。

今年も、世界各国の大学・国公立研究所・民間の質量分析計(Mass Spectrometry)に携わる科学者の方々やそれらに関連する関係者、各セッション並びに討論会の参加を目的とした一般参加者、のべ約4000人近くのレジストレーションがありました。皆さんも、ご承知のように分析機器に於ける質量分析計(Mass Spectrometry)は年を追う毎に技術革新が著しく、注目度が増しております。アメリカにおいても、過去10年から現在にわたり、飛躍的に質量分析装置のニーズが、各ジャンルにおいても要求されるようになりました。それに平行して、今までに質量分析計にまったく関係のない一部のバイオアッセイ系・インフォマティックス系関連研究者また、現在、質量分析計に於ける、トレンド的なアプリケーションを望まれる研究員の方々の、今学会のレジストレーションも急激に増加してきたという訳です。

今回のASMS学会視察の目的は、次世代の質量分析装置の行方と近々実用化されるであろう、質量分析装置並びにその前段階である、前処理装置・高速液体クロマトグラフ他を使用してのアプリケーションなどの研究発表と各社メーカーの新製品発表を調査するためのものであります。

先にお話をしましたように、この学会は、各ジャンル別に研究発表が行われます。その中で私自身が、今回注目をしたのが2点あります。1点目は、サンプルをイオン化させるために必要なイオン源です。3年ほど前から、米国Syagen Technology Inc社が開発・製品化して、現在では各質量分析装置メーカーが自社の装置とドッキングして販売を始めた、APPI(Atmospheric Pressure Photoionization ) イオン源です。このイオン源は、UV(紫外線)ランプ(主にクリプトンランプ10.0and 10.6ev)を使用して、イオン化をさせるイオン源です。基本的には、UV(紫外線)吸収がある化合物であればイオン化が可能な方法です。(但し感度や選択性、分析条件、目的の化合物によって適切な選択かどうかは別として)今回の学会では、Drug Discovery、環境関連の分野においてのアプリケーション応用例をポスター、オーラルセッションの両セッションにて発表が多くありました。現在あるAPCI(Atmospheric Pressure Chemical Ionization)では、感度や選択性、分析条件の限定があり、APPIは次の新しいイオン源として、かなりの期待がもたれる事はまちがいありません。今後のAPPIの動向に注目していきたいと思います。

次に、FT/MS及びFTICR(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance) フーリエ変換質量分析装置についてです。高額な質量分析装置であり、設置の制限もあるこの装置ですが、現在ある質量分析装置の中では、もっとも話題性があり、どの研究員の方でもこの装置に興味や期待を持っている事と思います。ここ2,3年で欧米やもちろん日本でも、かなりのApplication Dataや文献が出されております。たとえば、医薬現場での新薬開発における生産性向上にも欠かせないツールです。その他いろいろなジャンルに応用され、今後もより革新的な技術開発が期待されております。

最後に、この2004 ASMSに参加して感じたことは、この学会の持つ熱気です。毎年のように参加をしておりますが、冒頭でも申し上げたように、質量分析装置に縁のなかった研究者の参加が急増していることは、今後もアメリカだけに関わらず、多くの研究員が質量分析装置に注目をしていることに他なりません。今後も私自身が販売業務を継続しつつ、この先進的な装置である質量分析装置を通じて、社会貢献と奉仕に努める所存であります。

担当 営業 K.S  

医薬、食品、環境、材料、バイオなど、様々な分野で使用される分析機器・理化学機器および各種消耗品のことなら中部科学機器へ

お電話でのお問い合わせ
メールでのお問い合わせ
Page Top