HUPO 2019

#レポート2019.09.24

月日:9月16日(月)~18日(水)
会場:Adelaide Convention Center , Australia

 9月16日から18日の3日間で、オーストラリア 南部の アデレードにてHUPO2019に参加いたしました。アデレードの人々はとても親切で親しみを感じました。街はとてもヒストリカルで綺麗な街です。イギリスやドイツからの移民が開拓をして出来た街で、大聖堂や教会が数多い街です。ワインが有名な地域でもあり、ワインで栄えた街だそうです。日本と違い天候は肌寒い日も多く、花粉も飛んでいて少々、ビターなコンディションでありました。

HUPO 2019 World Congress は Adelaide Convention Centerにて開催され、多くの参加者が出席されました。約1100名のレジストレーションがあり、日本からも約70名の方が、出席をされました。

HUPO(Human Proteomics Organization)2019ではポスター、口頭発表でおよそ500以上の発表が行われ、その中でもProteomics,Metabomics,Genomics ,Lipidmics ,Glycomics (Glycoproteomics) などの(Omicsとはタンパク質、低分子などの構造を網羅的に解析していき、最終的には新薬開発に活かしていく方法)各分野のカテゴリーにおいて、生体内情報を網羅的に解析して、ガン患者、糖尿病などの疾患治療に役立てることを目的に最先端解析が行われている発表が数多くされてました。ここでは、詳細な内容には触れませんが、この様な研究が加速的に行われ、現在の医薬が進歩している裏付けとなっている事を確信する事ができます。

数ある発表の中で、弊社が販売している新製品の発表と、その現状をお話しします。ペプチドレベルでラベル化ができ、比較定量が一度の分析で結果から解析まで可能な、TMT(Tandem Mass Tag)Pro16Plex(Thermo Fisher Scientific)が今回の学会で、正式に販売が発表されました。より多くのタンパク、ペプチドの定量分析が可能になりました。特徴として幅広いUnique Reporter Ion (126-134Da)のlow mass領域を高分解能MS/MSを使用しながら高感度で定量する事が出来るようになりました。また、現状の11Plexにくらべ、より定量の信頼性と精度も上がりました。サーモフィッシャーの高分解能オービトラップ質量分析装置Orbitrap Eclipseを使用する事で、タンパク質発現変動解析を網羅的高感度分析が可能になりました。FAIMS pro(Ion Mobility)と併用することにより、False discovery rate のCriteriaが下がり、結果的にMS/MSのデーターの精度もあがり、ノイズや中性分子などの目的物と異なるイオンを取り込まない事で、結果的に分析時間と解析時間の短縮可能になりました。6月のASMS2019で同時に発表された、Orbitrap Exploris 480の発表も数あり、スキャンスピードが現状のQExacitve HFより早くなった事と、分解能も上がったので、Proteomics, Metaboromicsなどの生体内のタンパク質(バイオマーカー)の定性、定量分析が迅速的かつ精度良く、高感度に測定する事が可能になりました。

Orbitrap と並び今回のHUPO 2019で数多く口頭発表されていたのが、TIMSTOF pro(Ion Mobility QTOF/MS Bruker) と、堅牢性が非常に高く、ハイスルプット分析が可能になったEvosep One(HPLC)のシステムの組み合わせです。多検体を短時間分析する事ができます。本システムでは、Clinical Proteomics Analysis(臨床プロテオミック解析、Proteogenomics Analysis (プロテオームゲノム解析)の発表が多く発表されていました。timsTOF Proから得られた およそMinimums 100 Spectrum/secのMS spectrum 検出しながら、その間にイオンモビリティで分子量の精度を上げて行き、正確で精度の高いMS/MS Spectrumが取得できます。微量のタンパク質を検出する事が出来、Dig deeper and faster into the proteomicsが可能になりました。特にShotgun Proteomics解析であればこのシステムが非常に力を発揮するのではないかと感じました。

一方でNext Generation Genome Sequencer(次世代ゲノムシーケンサー)により、各患者のDNAを解析できます。併用して、先の質量分析装置でタンパク質の発現を網羅的に解析する事で、その定性能力を上げ、それらのProteopmics Data Base を作成することが出来るようになりました。日本でも多くの国立大学、国の機関の先生方が、Proteomics ,Clinical Proteomics, Peptidemics他のデータベースなどを開設されていらっしゃいます。一部の施設ではRepository(情報保管場所)を介して文献の作成とその信頼性を確実にされており、この度の学会でもデーターベースでのデーター解析を幅広く紹介されていました。今や色々な分野で情報の交換がFree Accessで 得られる様になっています。コンピューターの目覚ましい発展もこの様なデーター解析には欠かせないと思います。スピーディーにデーター解析が出来ることににより、疾患患者さんのデーターベースを作成していき、テラーメード治療が著しく発展している事が既に行われている事も実感いたしました。

最後に、本学会のいろいろな発表を拝見させて頂き、日本の先生方の益々の御活躍をされておられる事を実感しました。
弊社としても、社会に貢献できる様なサポートを惜しまず、継続してまいります。

代表取締役社長 佐野錦司

医薬、食品、環境、材料、バイオなど、様々な分野で使用される分析機器・理化学機器および各種消耗品のことなら中部科学機器へ

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