2013 ASMS(American society for mass spectrometry)

#レポート2013.07.18

月日: 2013年6月9日(日)~13日(木)
会場: アメリカ ミネソタ州ミネアポリス

 私にとりまして今回で6回目の参加になりましたASMSは、アメリカ中西にあるミネソタ州最大の都市ミネアポリスで開催されました。 アメリカ最大のショッピングモールで水族館から遊園地まであるモール・オブ・アメリカがある場所として、日本では知られております。
冬はとても寒く雪が多いことから、各ホテルからコンベンションセンターなどの建物にSKY WALKと呼ばれる屋根付き通路が完備されており、道路に降りることなく、建物間を行き来することが出来ます。 何千人が参加されるASMSの開催場所として、参加者がアクセスし易い、すばらしい環境でありました。
弊社にとって今後の質量分析計の動向を知ることと、弊社が輸入している各メーカーとの打ち合わせ、新製品を探るためにも、とても重要な課題を抱え参加を致しました。

Key Point

 私が注目致しましたのは質量分析装置ではサーモフィッシャーサイエンティフィック社製の新機種でFusionとQuantivaの2機種。
また、PROSOLIA社製 flowプローブやアドビオン社製 ESI Nanoスプレーイオン源のChip-mateなどのような質量分析装置の感度向上やイメージングなどを可能に致しますイオン源メーカーの新商品がとくに今回は目立っているように感じました。 今後、お客様へ質量分析での測定において新しい広がりをしていくのではないかと大いに期待の出来る新商品がございました。

まず、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製の質量分析装置よりご紹介させて頂きます。 今まで世界でもっとも売れておりますFT/MS Orbitrapシリーズの最新装置Fusion。 今までのOrbitrapシリーズと比較してQ Exactiveでの高速スキャンによる定量性・Hibrid Orbitrapでの多段階MSでの定性能力という2つの性能を併せ持ったTribrid装置です。 最高分解能も45万とアップしております。高感度でたんぱく質測定を行いたいお客様にお勧め致します。
2機種目はトリプルステージQuantivaとなります。 イオン光学計をすべて一新させ、Q2コリジョンセルにつきましても、1秒間で500SRM測定が可能な「ウルトラファーストスキャニング」と呼ばれる高速SRM測定が可能となるコリジョンセルを搭載。 最高感度が必要な製薬メーカー様・農薬などの一斉分析測定が必要な食品会社様には最適な装置です。

 次にアドビオン社製 新型ESI Nanoスプレーイオン源のChip-mateやPROSOLIA社製のFlow プローブにつきましてご紹介致します。
この2社の商品は質量分析という分野が分析業界において様々な用途への広がりをしていくと感じさせてくれます。
アドビオン社製ESI Nanoスプレーイオン源はESI Chipテクノロジーと呼ばれる穴の径が5.5μで 25本のノズルが付いているChipにスプレーしていくイオン源です。 これは従来のNanoスプレーと比較致しましてスプレーの安定性に優れ、尚且つ、外気からのコンタミも防ぐ密閉方式を採用しております。 また、スプレーSensingと呼ばれる機能で、スプレーの途中でノズルの詰まりなどのトラブルが起きても自動的に隣のノズルに切替えて、新しくスプレーし続けることが出来ますので大切なサンプル測定にも安心です。 これにより誰でも簡単、安定したNanoスプレーでの測定が可能になると考えられます。 さらに消耗品でありますChipも低価格で販売予定ですので初めての方でも安心です。 今、注目のiPS細胞などの医療分野で活躍出来るのではと期待出来ます。
続きましてPROSOLIA社製 Flow プローブです。 これは電荷を与えた溶媒を窒素ガスとともに、ステージに載せた試料に吹き付けることでESIにてイオン化します。 前処理が不要なので迅速な検査が可能で、吹き付け位置を精密にコントロールすることでイメージングも可能です。 吹き付ける溶媒はシリンジポンプによって供給され、溶媒の種類を変えることで、様々な試料のイオン化も可能です。 これにより簡単に臓器イメージングや食品物質同定などの新しい分野に広がっていくと期待しております。
このように近年と比較し、質量分析装置に付随しますメーカーに注目致します学会でありました。 これは質量分析装置が多種多様な分野に使用されるようになっており、用途や必要性が大きく広がっていることの証拠であり、今後ますますこの傾向は増加していくと考えられます。 弊社もこのようなイオン源メーカーなどに注目し、お客様にどんどんご紹介していくべきであると感じました。
 また、その他に弊社取り扱いメーカー様と現状及び今後の展開について打ち合わせも行いました。
弊社が日本で唯一販売が出来るOmni International社のビーズ式ホモジナイザーBead Ruptorは、破砕能力が優れた製品です。お客様がすぐれた破砕能力を求められる際は最適な製品になります。
日本におきましてもビーズ式ホモジナイザーの導入は増加しておりますので今後の展開に期待しております。
弊社で今年から取扱いを始めた大麻や麻薬などの固相抽出を得意と致しますSPEカートリッジメーカーUCT社の代表者と、日本市場での可能性についても打ち合わせを行いました。 日本でUCT社はまだまだ広がっておりませんが、特徴のある魅力的な製品が多く、積極的にご紹介をして参ります。


 今回のASMSは全体を通して感じましたのはポスター発表においては例年どおりに一日に800枚以上でしたが、年々日本企業の発表が多くなっております。 さらにポスターだけでなく、プレゼン発表もございましたので今後は日本企業の参加がさらに増加致し、日本におきましても質量分析の分野において裾野が広がって行くと思いました。
また、それはお客様だけでなく、今までの参加経験では同業他業者の方と会う事はほぼありませんでしたが、今回は同業他社の方も参加されておられましたので日本におきまして質量分析の新しい時代が来るように感じます。
その新しい時代の中で弊社は同業者と比べ、海外からの情報収集を積極的に行っている“さきがけ”の会社として、現地でお客様とメーカーとの橋渡し役を長年にわたり行っております。 私はこの中部科学機器の行動力を活かして、今後もお客様により多くの新情報を提供していく、さきがけ企業であり続けたいと思います。

担当 営業 S.I

医薬、食品、環境、材料、バイオなど、様々な分野で使用される分析機器・理化学機器および各種消耗品のことなら中部科学機器へ

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