2019 ASMS(American society for mass spectrometry)

#レポート2019.06.27

月日: 2019年6月2日(日)~6月6日(木)
会場: アメリカ アトランタ

 6月2日~6月6日の5日間、世界最大の質量分析学会ASMSが、かつてのオリンピック開催地としても知られるアメリカのアトランタで開催されました。
アトランタは昨年開催されたサンディエゴと違って、アメリカの南部に位置していることもあり、少し危ない町という印象を受けました。

私がASMSに参加するのは今回で11回目になりますが、5日間の開催期間中のポスター発表は毎日680枚が日替わりで、例年に比べてあまり変化がないように感じました。ただし出展メーカーはますます増えており、3年前は700社程度でしたが、今回は925社が出展しており、各メーカーの関心の高さを感じることができました。また、展示ブースは、消耗品などよりもソフトウェアの会社が増えているという印象でした。

その中で、弊社が輸入しておりますKURA Biotec社やOMNI社などを訪問しました。KURA Biotec社は前処理メーカーですが、こちらのメーカーの加水分解酵素は他社の製品と違って、あわびの抽出物で作っています。その中でもBG Turboは今までとまったく違い、活性時の温度は20度~55度、さらに約10分で分解が終了出来る画期的な商品です。警察関連のお客様が中心になるかもしれませんが、是非紹介していきたいと思います。

また、OMNI社は本社がアトランタということもあり、今回初めて本社まで足を運びました。OMNI社はホモジナイザー専用のメーカーです。OMNI社の製品であるビーズホモシナイザーは、日本でも各種メーカーがOEM品を販売していますが、OMNI社はそのオリジナルメーカーになります。ビーズの種類も豊富で、非常に効率よくホモジナイズすることができますので、是非お客様にお勧めしていきたいと思います。他にも弊社はバイアル瓶などのクロマト関連の消耗品を多く輸入しておりますが、今回は新しい試みとしまして、96穴プレートについての商談を行いました。価格的にも非常に安く提案することができそうですので、サンプルが届きましたら是非お客様にピーアールしていきたいと思います。

新製品としては、弊社の取扱メーカーであるサーモフィッシャーサイエンティフィック社のユーザーズフォーラムで、2機種の発表がありました。その中でも一番注目した製品はOrbitrap Eclipseです。EclipseはFusionシリーズの最高機種になります。分解能はm/z200において50万、質量範囲は50〜8000m/zまで可能、スキャンスピードもかなり早く40Hzとなります。変更箇所としては、まず四重極にEclipseのみに搭載しています新型四重極を採用し、イオンの取り込みをよりよくしています。
また、イオントラップも既存装置と比較して大きくなり、イオン取り込み量を増やして感度を向上しています。昨年に販売が開始されましたIDXと比較して、今回は中分子、抗体などを意識した測定に対してアプローチした機種になります。
もう一つの新製品は、Orbitrap Exploris480です。こちらはQ Exactiveシリーズの最高機種となります。分解能はm/z200おいて48万、スキャンスピードは分解能7500において1秒間に40Hzとなります。質量範囲は50〜6000 m/z 、Bio使用では8000m/zまで可能となります。変更点としては、イオン源まわりがExploris480のみがFusionシリーズと同じイオン源とレンズを採用し、ここでイオンの取り込み量を増やしており、感度の向上につながっています。四重極、Cトラップ、Orbitrapを真っ直ぐに配列することが可能となったために、かなりの小型化もできており、小型化により真空度も上がることからも感度の向上につながっています。こちらもEclipse同様に、タンパク質や抗体、ペプチドなどの測定を意識した機種となります。

装置以外では、FAIMS(イオンモビリティー)データの発表が多くありました。液体クロマトグラフィーを使用しなくても分離していき、抗体、ペプチドなどの測定をより簡易に、そして感度よく測定していくことが可能であると強く感じました。また、他社の注目すべき新製品としては、Sciex社より5500+とQTOFの6600+が販売開始となっています。ただし、どちらも最高機種の新型というよりは、既存機種のバージョンアップという印象でした。

今回は渡米後の休日を利用して、昨年は怪我でできなかったゴルフも行いました。リゾート地らしく、非常に綺麗なコースで、時差ぼけ対策にもなりました。翌日からのASMSにも気合が入りました。 ASMSは、参加するたびに新しい発見があります。今後も可能な限り参加させていただき、この業界の最新情報を中部科学機器として日本のお客様にご紹介し続けていきたいと思います。

担当:東京営業所 S.I.

医薬、食品、環境、材料、バイオなど、様々な分野で使用される分析機器・理化学機器および各種消耗品のことなら中部科学機器へ

お電話でのお問い合わせ
メールでのお問い合わせ
Page Top